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28 Nanjo

#28 美術展覧会 第一回 「南條哲章」

出品作家:南條哲章、烏山秀直、田中啓一郎、酒井一吉、東亭 順

企画:田中啓一郎

文:東亭 順


会期:2022年4月23日(土)、24日(日) / 14:00-18:00

 10年ほど前に東京から長崎へ活動拠点を移した烏山秀直*とは、かれこれ15年の付き合いになる。そんな彼と企画したイベントのため、2014年に初めて長崎を訪れた。はじめて搭乗するソラシドエアの機内サービスでは、乗客のほとんどが「あご」とリクエストしていた。正体がわからないまま興味本位で頼んでみると、それは柚子のきいたほっこりとする出汁スープだった ――と同時に、母が「あご」を好きだと言っていたことを同時に思い出し、長崎はカステラだけでなく「あご=とびうお」も名産なのだな、と合点したのだった。 ―― 小さな窓の外には入り組んだ地形が広がり、湖に浮かぶ小さな島に滑走路が見える。それは湖でなく海だったことを後で知るが、この大村湾は琵琶湖の半分ほどの大きさであり、全国的にも珍しい超閉塞海域といわれている。この湾の北西に広がる佐世保湾から、針尾瀬戸と早岐瀬戸という河川と見間違えるような海を通じて海水を引き込んでいるので、独特な潮の満ち引きがくり返されているのだ。長崎空港はその湾の南東に浮かぶ箕島 (大村市) に位置し、その更に南東の一番奥まった湾内で烏山となんどか釣りを楽しみ、その釣果を料理して食したことがあるが、塩加減が外海のものとはすこし違うようだったことを覚えている。適度な潮風や陽射しを受ける急勾配の地形は、柑橘類を育てるのに適しているそうで、みかんやポンカンの産地としても名高い。穏やかで白波が立つことも少ないこの海によって豊かな恵みを享受する一方、ハウステンボスの南東にある東彼杵 (ひがしそのぎ) には戦時中、回天(人間魚雷)の発射試験が行われていたという片島魚雷発射試験場跡がある。昨年の春に伊万里経由でそこを訪れたが、屋根が抜け落ちた本営跡地でウェディング関係の撮影が行われ、そのすぐわきの船着場では釣り糸を垂れる家族連れが暖かな陽射しを受けていた。この遺構について長崎観光連盟のサイトは、「エモいロケーションでアートな表現を」と紹介しており、サブカル系の撮影地としても注目されているようだ。

 

 長崎空港に降り立つと、修学旅行の集合写真でよく見かける謎のポーズをとる大きな像や、カステラ、ちゃんぽんなどのご当地パネルが寂しげに歓迎してくれた。到着口では満面の笑みを浮かべながらiphone 6 plusを構えた烏山が元気な姿で待ち構えていた。幼馴染からゆずり受けたというHONDA CR-Vに乗り込み、空港から対岸までの長い一本橋を渡って一路長崎へ向かう。想像していた街並みと随分と違うものだなぁと思っていると20分ほどで到着した。人気もまばらな駅前である。そこは昭和のヒット曲「長崎は今日も雨だった」の路地が入り組むスナック街の長崎ではなく諫早だったのだ。いや、前川清は佐世保出身だから故郷の佐世保を思って歌っていたのかもしれないが……。諫早 (いさはや) というと1997年に干拓事業として潮受け堤防が次々と閉められるというショッキングな映像が全国に流れたあの街である。現在では、ギロチンシャッターの上に車道が通されていて、ドナルド・ジャッドの作品のごとくシャープにエッジをきかせながら約7キロある対岸同士を一直線に結び、海と干拓地の境界を示している。ここ諫早は、有明海に続く諫早湾、外海側に橘湾、そして大村湾と3つの異なる湾に囲まれた珍しい土地でもある。木造平家造りだった駅舎も最近になって大改築され、スタバも入る複合施設の駅ビルに生まれかわった。近くには本明川が流れ、川岸に整備された遊歩道を学生たちが下校している。恋を語りあうには絶好のシチュエーションだろう。そんなエリアに烏山が室長を務める諫早造形研究室がある。古き良き(もしくは悪しき)昭和を感じさせる佇まいのままのその研究室は、とにかくすこしでも上位ランクに合格させるための美術予備校というよりも、進学後に続く美術との関わりかたに指導の重心を置いた寺小屋めいた趣がある。そこで事務や会計、学科講師や室長補佐として烏山をフォローしているのが、本企画の主役となるアズプロ第四の男、南條哲章である。2014年以降になんども長崎を訪れ、釣りを楽しみ、おすすめの道の駅を案内してもらい、潜伏キリシタンの地を辿り、ちゃんぽんやトルコライスを食べくらべ、皿うどんの裏メニューを覚えながら、研究室に集まる烏山の教え子たちとも交流を深めるたびに、忙しい合間を縫っていつも彼は顔を出してくれた。そして2018年の終わり頃、アズプロの立ち上げを快諾してくれた。

 

 「この南條とはいったい何者なのか?」と、これまでに何度か質問されたことがある。彼を説明するには長崎・諫早について書かなければいけないように思いこのように紹介が長くなっているが、彼はアーティストではない。というと、では何をする者がアーティストなのか。アーティストと称する者の作品が本当にアートかどうか。アートとはなんだ? というブーメランが返ってくるのだが、一般的にいう表現者としてのアーティストではない。大学では工学部に在籍し、企業に勤め、現在は地元諫早で新しい家族と暮らし、保育園を設立し、三代続く市議会議員の父親を補佐し、地域の消防団にも属し、地元ではすこぶる顔が広い。さらに幼馴染の研究室を支え、アズプロのメンバーでもある男、それが南條哲章だ。とはいえ、それは彼の表層の一部に他ならない。アズプロでは、メンバーのそれぞれが企画を打ち出しその運営を担っているので、本人が行動しないかぎり何かがはじまることはない。今回で28回目となる本企画では、その他のメンバー四人 (烏山秀直、田中啓一郎、酒井一吉、東亭順) が個別に南條をインタビューし、何かしらの表現物としてそれぞれ提示することになった。

 

 もしかしたら南條は、自らが動くのではなく自発的にメンバーが動くのを待っていたのかもしれない。不動だからこそ生み出せたともいえるこの企画の開始から、四人の美術家たちが一人の男にロックオンした。妄想と思考を四六時中くり返しながら南條哲章という男を考える旅に歩み出したのだ。南條と我々インタビュアーとのやりとりを収めた記録映像で、それぞれの異なる切り口やその経過を通して、アズプロ第四の男=南條とは何者か? という人間の解体が始まる。また一方では、ねるとん紅鯨団の告白タイムではないが、この告白とも言える創作行為によって、我々の人間関係が今後どのように深化するのか楽しみである。

*烏山秀直(画家/アズプロ創立メンバー。諫早造形研究室とNagasaki Factoryにてsongs for a pigeonを開催した。)

 

東亭順(現代美術家)

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Installation view / Photo by Ryuhei KAIHO

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Installation view / Photo by Ryuhei KAIHO

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Installation view / Photo by Ryuhei KAIHO

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Hidetada KARASUYAMA / Installation view / Photo by Ryuhei KAIHO

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Keiichiro TANAKA / Installation view / Photo by Ryuhei KAIHO

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Tetsuaki NANJO / Installation view / Photo by Ryuhei KAIHO

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Kazuyoshi SAKAI / Installation view / Photo by Ryuhei KAIHO

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Jun AZUMATEI / Installation view / Photo by Ryuhei KAIHO

#29 ウサギと野ウサギのダンス / 世界最新の洞窟壁画

Rabbit and Hare Dance / The Latest of Cave Painting

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出品作家:太田祐司  Yuji Ota

文:酒井一吉


会期:2022年5月14日(土) - 6月12日(日) / 土日のみ開場 14:00-18:00

太田祐司は、「嘘」をテーマに様々な手法を用いて制作している作家である。時にはイタコという職能を用い、美術史上の著名な故人を降霊したイタコに新作の制作を依頼したり、またある時には UMA(未確認生物) が写り込んだように見えるスナップ写真を捏造し、メディアを騒がせたりもする。物腰も柔らかく、とても親しみやすい人柄の一方で、時折内に秘めた「毒」が垣間見えるのだが、それは特定の対象を傷つける類のものではなく、「毒」として存在することが社会にとって有用であるように働いて見えるのだ。太田が仕掛ける一連の作品は、人間という存在を支えるナショナリズムや宗教、経済などの社会構造自体が孕む虚構性を突きつけ、変化を嫌い未知のものを恐れる我々の目を見開かせる。

本展では、宗教を伴う民族間の紛争を題材に北アイルランドで制作された日本未発表の作品『ウサギと野ウサギのダンス』と群馬県にあるとある洞窟にまつわる作品『世界最新の洞窟壁画』で構成される。太田の作品を通して、ナショナリズムや宗教といった物語の奴隷となるのではなく、押し寄せる情報の波に翻弄されることのないよう、それぞれが自分自身を見つめる契機となることを願っている。

太田祐司

1980 東京生まれ

2009 東京造形大学美術学科絵画専攻卒業

2011 東京藝術大学修士課程修了

 

展示歴

2021 「中之条ビエンナーレ 2021 国際現代芸術祭」中之条町 群馬県

2020 「ウサギと野ウサギのダンス」FLAX ART STUDIOS ベルファスト 北アイルランド

2018 「The Artists' Kalevala, ECHOES FROM THE PAST | TOKYO | BERLIN | KERAVA」Kerava Art Museum ヘルシンキ フィンランド

2013 「VOCA展 2013」上野の森美術館

2012 「きのう、あったことについて」AI KOWADA GALLERY

      「第15回岡本太郎現代芸術賞展」川崎市岡本太郎美術館

2011 「ジャクソン・ポロック新作展」AIKOKO GALLERY

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#30 Matsuri

#30 わしの、あたいも逸品 (芸術)祭

出品作家:石井琢郎、岩里杏美、太田祐司、奥山慎、小野田賢三、恩田聖子、海保竜平、烏山秀直、川島竜介、斎藤浩太、saku、里実咲、新津保朗子、友田威、南條哲章、原田直子、もこ、山本利枝子、游山義彭

企画・文章:烏亭(P•A•D)


会期:2022年7月15, 16, 17日

前夜祭 15(金)  16:00-20:00 

本 祭 16(土)  11:00-20:00

後夜祭 17(日)  16:00-20:00

入祭料:1日1000円、2日2000円、3日2000円

屋台風ナガサキケンサンピンほか冷たい物冷やしておきます。

協賛:見世真理乃、パロマ、諫早造形研究室、I・Z・K gallery、イサハヤゼミナール、小畑久美子、岸川宏子、北波慶子、ギャラリーカメリア、SEIKO、下村栞由、ナガサキファクトリー、野田邦弘、ボルケンホフ、モトノスタジオ、臨済宗大徳寺派興聖禅寺

— 突如ポストに届いた一枚の封書。それは我々の活動拠点である伊勢佐木町センタービルからの退去命令であった —

 

 あまりにも唐突で、現実味を感じられなかった。築65年を越えていればこんな日が来ることは頭のどこか片隅にはあったが、ガタはきていても用は足りるしこの先も存在するだろう、とどこか楽天的にも捉えていたのだ。まさか「その日」がこんなにも早く来るとは思っておらず、「退去命令」という決定事項に理解も気持ちも追いつかなかったというのが本音である。この空間が持つどこか現実離れしたというか、世俗と切り離されたような、あるいは世俗の末端のような、言い表しがたい感覚に慣れていたAZPメンバー一同に、この街からこの建物がなくなるという事実は衝撃を持って迎えられた。けれども、始まりがあれば終わりもある。その事実を受け止めたいま、この特殊性を帯びたAZPの代名詞的空間とこれまでに行ってきた数々の展示や作品に敬意を表し、そして今までここに携わってくれた全ての人たちに対して、この機会にいちど何かしらのお礼や感謝のアプローチを試みたいと考えた。できるだけ誰もが水平に、作り手側とそれを見る側が入り混じるような関係性が可能な空間を作れないか—そこで現れてきたのが「祭り」だった。


 一説によると、日本には大小約30万の祭りがあると言われている。幼い頃は両親に連れられて、思春期以降になると友達と自転車に乗って出かけ、祭りを口実に意中の人を連れ出した。中央にはステージが設けられ、のど自慢大会のようなカラオケ、子供たちによるダンスショーなどがプログラムに沿って進行している。そのステージ周りを数々の屋台が囲むように出店し、威勢のいい兄さん姉さん、渋いおじさんおばさんがジュージューと煙を立てて切り盛りしている。食欲を掻き立てられながら、金魚やヨーヨーをすくい、何だかよくわからない商品が当たるくじを引き、ピカピカと蛍光色が点滅するブレスレットだったりド派手に着色されたヒヨコやミシシッピアカミミガメが売られるなかで、祭囃子にのっかって、気持ちがどんどん高揚させられる。

 そして昨今、日本全国津々浦々でアートによる町おこし的な役割を持った芸術祭が加わり始めた(芸術祭という名称は、東京藝大の前身である東京美術学校の文化祭で最初に名付けられたらしい。だから「国際芸術祭」という言葉を初めて聞いた時には、あの文化祭が大規模で行われるものなのかしらと勘違いした記憶がある)。一時的に新型ウイルス感染拡大による開催中止や延期などの影響はあったが、ここ最近では着々と(虎視淡々というべきか)開催が発表され、アートの持つ繁殖力はさながらウイルスのようでたくましい。否、人々がその魅力を求め続けた成果が今結実してきているのであろう。乱暴な言い方だが、開催地の風土や歴史・特色を調査し、きっかけを基盤にディレクターの意図する芸術(アート)観でアーティストを選出し、それぞれの作家が作品を発表するそれらの祭りは、あの夕闇にぼんぼりが灯され風に揺られ、雑多なものが畳み掛けるように五感を刺激し続ける、高揚を強いられるカオティックな場としての「祭り」とはどうやら異なる類いのものなのかもれない。まつりとは「祀る」「奉る」「祭る」ことであり、神や先祖、動物、自然、目に見えるものや見えないもの、物質的なもの精神的なものなど多様な対象を崇拝・信仰することであるはずだ。そしてそれら崇拝対象に誰もがみな平等な役目・役割を果たすこと—みなが自然と入祭し、そこに真の水平が現れ、おおらかな全体感が生み出されることが重要だ。


『わしの、あたいも逸品 (芸術)祭 』では、解体が決定しているセンタービル3階のAZPスペースを祭り会場と定め、入祭者それぞれが持つこだわりの「逸品」とその魅力を発信する「己」、さらにそこへ集う者たちも崇拝対象となり、入祭する。音楽家であれば楽器や影響をうけたレコード、画家や彫刻家ならばそれなしには作品が成立しない道具、調理師や美容師であれば客に喜んでもらうための道具もそうであろう。また、どうにも捨てられずに手元にずっと置き続けてしまっている特に役に立たないものであっても、「逸品」と言えるだろう。そんな各々が持ち寄った自慢の、思い出の逸品についての詳細やエピソードを祭りの柱とする。入祭者も鑑賞者も「逸品」を発端にして存分に語りあう場となるだろう。夏の夜風が耳元まで運んでくる遠くの会話くらいにしか聞かれなくとも、話が逸れ脱線しても構わないではないか! 入祭者が持ち寄る「逸品」に共感を抱く必要はない。それは「己」のみが抱えた超個人的なこだわりの話なのだから。誰もが感嘆するようなものだけでなく、他人から見れば取るに足らない小さな逸品もあるだろう。有象無象が並び語り合う空間はまさにカオスだ。それは、抑えきれない高揚感を味わったあの祭り、展覧会とも呼ぶこともできない「我々の祭り」である。

 

 このセンタービルに30年以上も放置されていた大生商事。この旧印刷所を弔うかのようにその跡地で活動を始めたアズマテイプロジェクト。ここでの活動がカウントダウンを迎えるなか、AZP#30として7月15日の新盆から本祭をとり行う。入祭者と鑑賞者という関係こそあれ、祭りに関わる演者として共に入祭し、伊勢佐木町センタービルへ手向ける我々の(芸術)祭としようではないか。

 

烏亭 (P•A•D)

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#30祭裏small.jp2
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 Photo by Ryuhei KAIHO

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 Photo by Ryuhei KAIHO

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treasures in sight by Rieko Yamamoto |  Photo by Ryuhei KAIHO

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Plush Dolls by Hidetada Karasuyama |  Photo by Ryuhei KAIHO

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tea cup by Naoko Harada |  Photo by Ryuhei KAIHO

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JINGI actors also sing by Ryuhei Kaiho |  Photo by Ryuhei KAIHO

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navajo jewelry by shin Okuyama |  Photo by Ryuhei KAIHO

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talking about teeth by Kota Saito |  Photo by Ryuhei KAIHO

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Dedicated to Centerville by Seiko Onda |  Photo by Ryuhei KAIHO

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guitar case by Kenzo Onoda |  Photo by Ryuhei KAIHO

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Fushimi Kuwa Dance by Ami Iwasato |  Photo by Ryuhei KAIHO

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 Photo by Ryuhei KAIHO

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 Faded monk's indigo-dyed clothes by Gisyo Yuzan | Photo by Ryuhei KAIHO

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genealogical records by Tetsuaki Nanjo |  Photo by Ryuhei KAIHO

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Kashi shibai by Takeshi Tomoda |  Photo by Ryuhei KAIHO

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discovery of the century |  Photo by Ryuhei KAIHO

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Touch by Misaki Sato |  Photo by Ryuhei KAIHO

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Furisode by saku |  Photo by Ryuhei KAIHO

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 Photo by Ryuhei KAIHO

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 Photo by Ryuhei KAIHO

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Pesticide-free plum wine from Nagasaki |  Photo by Ryuhei KAIHO

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 Photo by Ryuhei KAIHO

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 Photo by Ryuhei KAIHO

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vegetables from Nagasaki |  Photo by Ryuhei KAIHO

#31

#31 Always Moving | 幽邃 | 測量としての線と辿々しい線

出品作家:石井琢郎、海保竜平、田中秀和

 

企画・文章:烏亭(P•A•D)


会期:2022年9月2,3,4,9,10,11 / 金土日のみ開場 14:00-18:00

いよいよ伊勢佐木町センタービルでの活動も大詰めを迎るアズマテイプロジェクトでは、これまでの開催日程を変更して2週ごとに3つの個展を3つのスペースで開催します。

 

#31では、彫刻家 石井琢郎、写真家 海保竜平、画家 田中秀和が新作を披露します。石井はAZPの創設メンバーの1人でスペースの立ち上げに尽力し「#03 One Stone」では、巨大な岩を運び込みました。一貫して石をモチーフとし、自身と石にとって異なる時間と記憶を「現在」という共通点によって、重ね合わせていきます。海保は#01から展覧会記録の撮影を請負い「#09 幽邃」では、撮り溜めてきた倒木写真を一挙に公開。朽ち果てながら再生を促す倒木に魅了され、全国各地に赴き「次代に生命を引き継ぐ姿」を写真に納め続けています。田中は「#08 絵画へ向けて」に参加し、様々なメディアを用いて絵画に言及しました。絵画という仕組みをひとつの起点とし、そのルールを守りつつスライドさせながら「絵画の限界点」を模索します。

 

芸術作品は、表現形式や媒体が多岐にわたるにつれ、見る側へ難解さを突きつけ、よくわからないことだらけの世界へ誘います。しかし、裏を返せば私たちはこの21世紀に生きながら、何かひとつでも理解しているのでしょうか。もしくは、ひとつでも多く理解しようと努力しているのでしょうか。3人の作家からは、それぞれが打ち込み、取り憑かれたかのような興味への欲求をちいさな手がかりとし、世界をどうにか把握しようという真摯な態度を感じるのです。

 

石に魅せられ、倒木に歓喜し、逸脱を企てる。それぞれが歩む「道」が、取り壊しの決まったこの場所にどのように繋がるのか。目撃できることが楽しみです。

​石井琢郎 ISHII Takuro

1979年、長崎県生まれ、埼玉県在住。東京藝術大学美術学部卒業、東京藝術大学大学院美術研究科彫刻科修了、東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程美術専攻彫刻研究領域修了。2014年Rokko meets art 公募準大賞、2018年アイスタイル芸術スポーツ振興助成。主な展覧会として、2021 さいたま国際芸術祭 市民プロジェクト「時のきざはし」(埼玉)、2019「One stone」/Azumatei project(神奈川)、2017年個展 肌理のつらなり / 秋山画廊 / 東京、2016年KAAT 突然ミュージアム2016 /神奈川芸術劇場 / 横浜、2015年個展 Reach into it / さいたま市プラザノース / 埼玉、2014年 Rokko meets art 2014 / 兵庫など多数

海保竜平 KAIHO Ryuhei

京都市生まれ。1970年代後半をアフリカのナイジェリア・ラゴスにて過ごす。多摩芸術学園(現・多摩美術大学)写真学科卒業後イギリスへ渡り帰国後フリーランスのフォトグラファーに。ポートレート等、様々な撮影も手がける。2019年「幽邃」アズマテイプロジェクト

田中秀和 TANAKA Hidekazu

2005年武蔵野美術大学造形学部油絵学科卒業。2008年「個展」ART TRACE GALLERY、2009年「hidden place」TURNER GALLERY、2009年「組立」人形町Vision's 、2014年「まちの展」茅野市美術館市民ギャラリー 、2018年 五月祭 田代邸 、2019年「絵画へ向けて」アズマテイプロジェクトなど。

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Takuro Ishii |  Photo by Ryuhei KAIHO

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Takuro Ishii |  Photo by Ryuhei KAIHO

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Takuro Ishii |  Photo by Ryuhei KAIHO

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Hidekazu Tanaka|  Photo by Ryuhei KAIHO

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Hidekazu Tanaka|  Photo by Ryuhei KAIHO

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Hidekazu Tanaka|  Photo by Ryuhei KAIHO

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Ryuhei Kaiho|  Photo by Ryuhei KAIHO

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Ryuhei Kaiho|  Photo by Ryuhei KAIHO

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Ryuhei Kaiho|  Photo by Ryuhei KAIHO

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