#07 分水嶺、カウンター、伝播
出品作家:東亭順
会期:2019年9月14日(土) - 10月13日(日) / 14:00-19:00
オープニング:9月14日(土) 18:00-
"Soft-Concrete" Trilogy of live Performances
9月21日(土) "セカイノハジマリ"
10月5日(土) "ドブガワニイキル"
10月12日(土) "セカイノオワリ" +烏亭
9月22日(日)激団ときめき初公演
自ら撮影した空や雲の写真を下敷きに、記録と記憶を重ね合わせ塗り固め磨き上げた絵画を発表してきました。
二〇〇九年より助成を得て、スイス・ドイツに制作拠点を移し、約一年半後に大きな転換期を迎えます。
ラップトップの前に流れるニュースや動画を繰り返しこれほど熱心に呆然と見続けた時間はなかったでしょう。その経験は、自分の世界を一変させました。どろりとした濁りがあらゆるものを飲み込み、不過視の物質が舞い上がり、滲み出し、取り込む恐れを抱えながら、未来に踏み出せという世界です。
疑いもなく歩みを進めていた世界に続くだっただろう道の遠くからメッキが剥がれ落ち、乾涸びてひび割れ、青ざめた世界が顔をのぞかせはじめます。その澱みはゆっくりと流れをうみだし、次第に勢いを増しながら強大な空気を作り出して私達をコントロールするように押し流そうとしています。
いま手にしているものがどのような歴史を辿ってきたのだろうかという興味を抱いた頃、スイスの中古屋でダマスク織りのベッドシーツをたまたま手にしました。極東からシルクロードをゆっくりと横断しながら、その土地の色に染められて姿を少し変えながら西洋へ辿り着き、その地の人々が手にしてきこのデザインは、どこか馴染みを覚える良質な出来栄えでした。
中古である以上、何者かが使い込んだ気配の染み付いた温もりのような微妙なざわめきを綻びやほつれから感じとれます。
過ぎ去った時間を共にした証としての写真ではなく、シルクロードを旅した歴史に想いを巡らせ、人生の三分の一を過ごすベッドを覆う、縦糸と横糸で織り込まれた白い花柄模様に紡がれた物語に上書きしていく。そういった制作に取り組みはじめ、記録と記憶という興味を深化させていきました。
二〇一五年に帰国し、アトリエで制作を終えて完成された作品を展示する展覧会という形式ではなく、身ひとつで会場入りして表現活動を行うライヴ活動に向かいはじめます。
これは、横浜・野毛という場の力や身近にいる音楽家の生き様もおおいに加勢しているでしょうが、記録と記憶を同時に他者と共有できる方法のひとつでもあり、また美術家の表現(作品)と美術家の人生は別物で語れるものではないという考えに確固たるものを強く感じ、河を渡り歩みはじめたからです。
活動を通して、手のひらに掬った水が零れ落ちていく感覚をはっきりと自覚します。しかし同時にそれは我々が掬った以上のものを期待していただけなのかもしれません。零れ落ちる水に憂うのではなく、喉の渇きを満たしたければまた掬えばよいのであって、大事なのはその水がどこにあるか探すことを怠らない事のように思います。(烏亭)
Room B / Photo by Ryuhei Kaiho
Room B / Photo by Jun Azumatei
【CMYRGB】
直管蛍光灯、マスキングテープ
Room A / Photo by Ryuhei Kaiho
【音速ウグイスループ】
拡声器、電池、マイク、アンプ、ライト、モーター、人感センサー
Room A / Seisaku Murata (Butoh)
Room C / Photo by Ryuhei Kaiho
【白い部屋に立つ灰色の残像】
プラグラス、石膏、布、人感センサー、ストロボライト
Room C / Photo by Ryuhei Kaiho
Room B / Photo by Jun Azumatei
【CMYRGB】
窓にマスキングテープ
"The End Of The World" by Soft-Concrete with KARASUTEI
"Living in a Sewage River" by Soft-Concrete with SORA
"Beginning of the World" by Soft-Concrete