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#24 闇の中の白い正午 - 不確定性正方形 - The glaring noon in the dark - Indefinite Square

出品作家:倉重光則

企画・文:烏亭(烏山秀直+東亭 順)


会期:2021年9月23日(木祝) - 10月17日(日) / 土日祝日及び9/24(金)のみ開場 14:00-18:00

私たちは以前から倉重光則を知っていた

 

まだ美術を志しはじめた頃

当時通っていた美術予備校で

眼前のモチーフを必死にデッサンしながら

美術書を読み漁り

豊かさと難解さの交差する

いずれ私たちの主戦場となるはずの

美術の最前線を夢想していた

 

そこに彼はいた

 

数十年後のスイス

出品者として同じ展覧会に参加したことで

私たちの交流は始まった

 

時に挑発され

時に試されながら

ゆるやかな交流を繰り返し

自然に熟成を迎えたいま

アズプロでの個展が決まった

 

「全力で発表する」

少年のような宣言を耳にした瞬間から

私たちの胸は高鳴りつづけている

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横書きにタイピングされた詩が 壁に掛けられていた

左端は垂直に整列し 右端は改行ごとに不揃いだ

床のうえにそのシルエットが拡大され 

青白く光る細いネオン管に置き換えられている

左から右へ改行を繰り返し下方へ流れるはずの詩が

床に置かれ四方からそれぞれの景色を作っている

遠い水平線から波打ち際を思わせる風景が出現する位置に立つと

その果てしないはずの距離を 同時に俯瞰している私たちがいる

光によって照らされた時 対象物は視認される

しかし 対象物と光源の距離があまりにも近いとそれは消し去られる

見せるための機能と同時にものを消す作用を併せ持つ事実の発見

この体験を強烈な快感が与えられた瞬間だったと作家は言う

私たちがどちら側を見ることになるのか 試されるようだ

淡い発光体が何かを暗示するように壁に線状に組まれ

薄明の空を思わせるグラデーションが空間を染めあげていた

発光体なのか それとも壁や床や柱を含めた空間すべてなのか

ミクロ的視点 マクロ的体感を私たちに教えてくれる

ことあるごとに一服を求め足早に喫煙可能な場所へ向かい

日に焼けた分厚い手の平でライターの炎を囲って

丸めた背中越しに煙を立ちのぼらせる姿

真剣に作品と対峙し そこから核となるモノを読み取ろうとする眼差

年齢や性別や国籍など一切気にせず同じ目線で互いのこれからを語る夢

濃くもあり淡くもある 幼き頃に憧れた大人の姿

烏亭(アート・パフォーマンス・デュオ)

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倉重光則

作家HP

福岡県久留米市生まれ

1986年以降 国内外を問わず精力的な活動を通し 数々の展覧会に参加

現在は神奈川県三浦市のスタジオで制作を行う

 

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Installation view / Photo by Ryuhei KAIHO

Installation view / Photo by Ryuhei KAIHO

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Installation view / Photo by Kazuyoshi Sakai

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Installation view / Photo by Kazuyoshi Sakai

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Installation view / Photo by Kazuyoshi Sakai

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Installation view / Photo by Kazuyoshi Sakai

#25 ロマンティックに生き延びろ - Survive Romantically

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出品作家:烏亭(烏山秀直+東亭 順)

文章:齋藤浩太(音楽家)


会期:2021年10月30日(土) - 11月28日(日) / 土日のみ開場 14:00-18:00

協力:酒井一吉事務所 陶山美術鋳造所

詩が抹殺されつつある昨今である。

詩とは人間的な営みであり、虚無に向かって投げ出された手だ。

揺れる境界線上で反復されやがて消えていく。

そこには答えも結果もない。過程があるだけだ。

今、誰もがそれを避け、その抹殺に加担している。

 

烏亭の作品は、最終形態へと向かう過程そのものである。

提示される単純な現象が持続あるいは反復し、展示の終わりとともに中断される。

無数の切り花がアレンジされた花輪に空隙が生まれ、死が優雅に侵食する。

軌道上を廻りながら燃えては消える蝋燭から蝋が滴り、

残滓とも新たな生命ともつかぬ無様な塔となってわずかずつかさを増す。

 

それはどこか祈りに似ている。

祈りは繰り返されることで強度を増していき、

ある地点を過ぎれば意味を失いただの歌や叫びのようなものとなる。

我々は今日も不在と対峙することになるだろう。

だが、歩いていかねばならないのだ。

揺らぐ境界線の上を、祈りを口ずさみながら。

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Installation view / Photo by Kazuyoshi Sakai

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Installation view / Photo by Kazuyoshi Sakai

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Installation view / Photo by Kazuyoshi Sakai

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Installation view / Photo by Kazuyoshi Sakai

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Installation view / Photo by Kazuyoshi Sakai

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Installation view / Photo by Kazuyoshi Sakai

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Live Performance  / KARASU-TEI, Soft-Concrete, Yoriko Ichinomiya

Photo by Ryuhei Kaiho

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Live Performance  / KARASU-TEI, Soft-Concrete, Yoriko Ichinomiya

Photo by Ryuhei Kaiho

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Installation view / Photo by Kazuyoshi Sakai

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Installation view / Photo by Kazuyoshi Sakai

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Installation view / Photo by Kazuyoshi Sakai

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#26 同時期- in the same period 

出品作家:下山健太郎、田中啓一郎、村田啓

文章:田中啓一郎(美術家)


会期:2021年12月11日(土) - 2022年1月30日(日) / 土日のみ開場 14:00-18:00

12月25日-1月9日まではお休みです。

自動更新されゆく道楽に窓が覆われようとも、抹消されゆく過程に目を凝らし外界に手を伸ばす。
どんな世界になろうと、此処に集う芸術家が状況に屈し歩みを止めることはないであろう。
2021年最後を飾るプロジェクト#26では、3名によるグループ展を開催する。

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下山健太郎(しもやまけんたろう)<HP:http://shimoyamakentaro.com/

1990年、東京都生まれ
2016年、東京造形大学大学院 美術研究領域 修了
主な個展に「Someday」(2019年、reading room 、台湾)「seeing far away」(2017年、BRAVENESS CONTEMPORARY、神奈川)
主なグループ展に「3人のキュレーション「美術の未来」Shibuya Hikarie Contemporary Art Eye Vol.15」(2021年、Hikarie 8/CUBE 1, 2, 3、東京)「国立奥多摩湖 ~もちつもたれつ奥多摩コイン~」(2020年、gallery αM、東京)「もの・かたり-手繰りよせることばを超えて-」(2019年、代官山ヒルサイドテラス、東京)などがある。

村田啓(むらたけい)<HP:https://keimurata.com/

1990年、新潟県生まれ。現在東京を拠点に活動。
2016年、東京藝術大学大学院美術研究科絵画油画専攻を修了。視覚、スケールの変容への興味を基とした写真や映像を用いた作品制作のほか、ミュージシャンやファッションブランドとの協働、宣伝広告への写真制作などを行う。
主な展覧会に、「Five Holes Are Sunlit」(Token Art Center、東京、2021年)、「鮭」(アキバタマビ21、東京、2020年)、「Ignore Your Perspective 50 – Shapeshifter」(児玉画廊天王洲、東京、2019年)、「群馬青年ビエンナーレ2019」(群馬県立近代美術館、群馬、2019年)、「密度とエコー」(mumei、東京、2019年)などがある。

田中啓一郎(たなかけいいちろう)<HP:https://www.keiichirotanaka.com/

1990年、東京都生まれ。現在神奈川県の共同スタジオで制作を行なっている。
2015年東京造形大学造形学部美術学科絵画専攻 卒業。2020年の10月にアズマテイプロジェクト加入。
主な個展に「Before giving a name」(2021年、 アズマテイプロジェクト、 神奈川)、「You Look at A. A Looks at You.」(2020年、 Rocky Shore、 東京)
主なグループ展に「目と的」(2021年、メルドル、東京)「VIVIDOR 〜人生を謳歌する人〜」(2020年、 アズマテイプロジェクト、 神奈川)、「for animals, by humans」(2020年、 same gallery、 東京)、「モノクロームの欠片」(2020年、 アズマテイプロジェクト、 神奈川)、などがある。

 

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Installation view / Photo by Ryuhei Kaiho

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Installation view / Photo by Ryuhei Kaiho

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Installation view / Photo by Ryuhei Kaiho

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Installation view / Photo by Ryuhei Kaiho

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Installation view / Photo by Ryuhei Kaiho

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Installation view / Photo by Ryuhei Kaiho

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#27 志田塗装 虚実の皮膜

出品作家:酒井一吉


会期:2022年2月19日(土) - 3月20日(日) / 土日のみ開場 14:00-18:00

私がアズマテイプロジェクトの隣に借りた部屋には、 入口に古びた建てつけの悪いシャッターがあり、 その薄汚れた鼠色のスラットには黄変した白ペンキで「志田塗装」と書かれていた。 室内は時が止まっているかのような昭和の空気をまとい、天井と壁は亜麻色に、床から腰高までは胡桃染にと二色に塗り分けられている。壁にはところどころ焦茶色の旧塗膜も残っており、 塗り替えの痕跡から使われていた棚や事務机の残影が見て取れる。 塗装とは、 気分を一新するためや、 建造物を劣化から保護し生活環境を衛生的に保っために行われる人間の営みである。 巨視的にはその行為が風景になり、 都市を形作っている。
 ここ横浜は近代塗装の発祥の地と云われ、 開港とともに西洋式塗装技術が輸入された歴史を持っている。 あるとき大家さんに何気なく志田塗装について尋ねたところ、 志田塗装という事業者が過去に入居していた事実はないと云う。 予想だにしなかったその一言に、私は愕然とした。
 穂積以貫の 『難波土産』中には、近松門左衛門の芸論 「虚実皮膜論」 を解説してこう記されている。 「(近松答日)藝といふ ものは實と虚との皮膜 (ひにく) の間にあるもの也。[…]藝をせば慰(なぐさみ)になるべきや。皮膜(ひにく)の間といふが此也。虚にして虚にあらず、實にして實にあらず、 この間に慰(なぐさみ)が有たもの也。」
 本展では、 見えていたはずの感覚を手がかりに志田塗装を演じることから展覧会を構成し、 現代の新たな虚実の皮膜の構築を試みる。  
(美術家 酒井一吉)

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酒井一吉 Kazuyoshi Sakai
1985 年長崎生まれ。 2008 年東京造形大学造形学部美術学科絵画専攻領域卒業。

 被爆地ナガサキに一定期間に残存した被爆遺構「旧浦上天主堂」を現天主堂の壁面に原寸大の映像を投影し再現する『浦上天主堂再現プロ ジェクト』(2015) や同郷の彫刻家北村西望作『平和祈念像』に扮し、 西望ゆかりの地へ赴く『平和祈念像パフォ ーマンス』(2015) など社会制度や文化的慣習との関わりの中で、 場の形成と当事者性の獲得をテーマにプロジェクトを展開している。 2020 年よりアズマテイプロジェクト参加。

主な展覧会に、「横浜 あの街を歩く「草枕」のように手書きの地図で」(東京ベイガード ベネチア号、横浜、2021年)、「現れの場」(アズマテイプロジェクト、横浜、2021年)、「VIVIDOR〜人生を謳歌する人〜」(アズマテイプロジェクト、横浜、2020年)「絵画へ向けて」(アズマテイプロジェクト、横浜、2019年)、「浦上天主堂再現プロジェクト」(浦上天主堂、長崎、2015年)

 

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Installation view / Photo by Kazuyoshi SAKAI

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Installation view / Photo by Kazuyoshi SAKAI

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